太陽熱温水器とは? 太陽光発電やエコキュートとの違いについて
日常生活を送る上で電気、水道、ガスの光熱費は必ず発生するものですが、節約を意識していても使用量を減らすのはなかなか難しいですよね。なかでも家庭で使用するガスは入浴時の給湯が多く占めており、全体の約3割といわれています。
そこで、その入浴時のガス代を減らすのに有効な「太陽熱温水器」というものをご存知でしょうか?
太陽熱温水器は、太陽光を利用して無料でお湯を沸かすことができるもので、これを導入すれば月々のガス代を安く抑えることが可能になります。
そこで今回は、太陽熱温水器の仕組みやメリット、デメリットなどを解説していきますので、取り入れるかどうかぜひ参考にしてみて下さい。
太陽熱温水器とは? 太陽光発電との違い
太陽熱温水器は太陽光を利用し、タンクの水をお湯に変える機器になります。水を貯めるタンクと、熱を集めるソーラーパネルがセットになっています。
1970年代頃から家庭に広まりましたが、2000年代からは電気代を削減できる太陽光発電などの競合が現れ、普及率が低下していきました。
しかし、近年では「設置費用の安さと簡単さ」を理由に太陽熱温水器も徐々に再び注目を浴びてきています。
太陽熱温水器と太陽光発電の違いとして、まず太陽熱温水器は太陽エネルギーを利用して貯湯タンクの水をお湯へと変える仕組みとなっています。
太陽光から電気を生み出すものが太陽光発電で、太陽熱温水器はお湯のみを沸かすものであり、太陽光発電の半額以下で導入ができることが大きなメリットです。
家庭で使用するガスは入浴時の給湯が多く占めているので、太陽熱温水器を導入することでその分のガス代を大幅に節約できるのが魅力となっています。
太陽熱温水器の種類は大きく分けて2つ
太陽熱温水器には以下の2つのタイプが存在します。
自然落下式
屋根の上で温めたお湯を直接その真下にある湯船に流して使うという、とてもシンプルな仕組みになっています。
沸かしたお湯をシャワーに使えないというデメリットがありますが、初期導入費用が20~30万円と安く、DIYに自信のある人は自作をするくらい簡単なものになります。
この費用や手間の元を取れるかどうかは家庭のガス使用量で異なりますが、導入費用が安いためリスクはかなり低いです。
水道直結式(ハイブリッド型)
自然落下式が湯船に流すのに対し、湯船ではなく給湯器に供給するものになります。既存の給湯システムに近い形で使用でき、シャワーのお湯としても使えて温度調整もできます。
しかし、自然落下式に比べて初期導入費用が高いのが難点で、約50~100万円が相場です。
予算がある場合は水道直結式を導入しても良いのですが、元を取るまでに時間がかかる可能性があるため、導入前には慎重に検討する必要があります。
エコキュートとの違い
太陽熱温水器はエコキュートとも比較されることが多いので、その違いも解説します。
太陽熱温水器が太陽熱でお湯を沸かすものだということは前述しましたが、エコキュートは家庭の電気を使ってお湯を沸かします。
ランニングコストは、エコキュートの場合ガスの代わりに電気でお湯を賄う必要がありますが、オール電化にすることでトータルの光熱費を削減できる可能性があります。
一方で太陽熱温水器の場合、電気代は今までと変わらずお風呂のお湯で発生するガス代が無くなるため、そのままガス代を削減することができます。
導入費用は、エコキュートが50万円前後で、太陽熱温水器は前述したとおり自然落下式で20~30万円、水道直結式で50~100万円ほどです。
どちらを導入するのが得かどうかは各家庭によって異なるので、それぞれ見積もりをとってもらうと良いでしょう。
冬場や雪国でも使える?
太陽熱温水器は冬や雪国でもお湯を沸かせるのかどうかが気になるところですが、これは使用する機器や、設置の仕方によって大きく左右されます。
最新型の高性能のものでは冬場や寒い地域でも温かいお湯を沸かしやすいのですが、古いモデルだと給湯の温度が高まりにくいことがあります。
その場合は従来のガスを使って賄う必要が出てくることもあるため、結果としてあまりガス代の節約にならない可能性もあります。
また、冬場は日照時間が短くなり、お湯の使用量も増える傾向になるのでエネルギー不足も心配されます。
しかし、機器を45度前後の角度にして取り付けると太陽光を多く取り込むことができ、西側に傾けて設置すると夜の入浴に向けてお湯を貯めやすくなります。
このように工夫次第で大きく恩恵を受けることが可能です。
いずれにしても太陽光を取り込めるように設置する必要があるため、角度や周囲の環境には注意しなければなりません。
自身で判断しづらい場合は、DIYではなくプロの施工店に依頼する方が確実で安心です。
まとめ
太陽熱温水器は太陽光でお湯を生み出すため、ガス代の節約と家庭から出るCO2の削減効果があります。
地球に優しく、少額でも導入できるのがポイントで、設置する角度や場所などの工夫によって冬場でも温度の高いお湯を生み出しやすくなります。
電気を使用できる太陽光発電ほどではありませんが、非常時の備えにもなるのでおすすめです。
ただし、高額な初期費用で導入してしまうと元をとることが難しくなるので、その点には注意をしつつ、エコで光熱費を抑える一つの手段として検討してみると良いでしょう。